原典と改定
こんにちは、トサカです。
昨日行ってきた、Osaka Shion Wind Orchestraの演奏会で一番印象に残った曲、「ドラゴンの年 2017年版」について話します。
ミニマルな原典
この「ドラゴンの年」は吹奏楽をある程度たしなむ人なら一回は聴いたことがある作品だと思います。
この曲はもともと金管のみで構成されたブラスバンドのための曲だったのを、吹奏楽用に編曲しなおした曲です。
当時のイギリス吹奏楽はかなり小編成で、軍楽隊の伝統に基づいていました。
ドラゴンの年は、このイギリス吹奏楽の基準に合わせて作曲されたため、最低限の音で構成されていました。
このシンプルさが、自分は好きでした。
この曲は、2017年に改訂版が出されます。
委嘱依頼したのはシエナ・ウインド・オーケストラ。
初めてこの曲を聴いたのはこのYouTubeだったかな。
一楽章は頭抱えながら聴いたのを覚えています…。
とにかくびっくりした。なんかいろいろと増えている。
原作のミニマル感が好きだった自分にとって、この曲の変化は驚くべきものでした。
言うなれば、「素朴で可愛かった子が大学デビューしてしまい、無理に茶髪にしている」ように感じられたわけです。
でも、昨日本人の振る指揮でこの曲を聴いて、認識を改めました。
改定されたところ
この曲で大きく改定されたのは、以下の点です。
- 現在の吹奏楽のスタイルに合わせた編成になるよう、打楽器、低音木管楽器の増強
- 木管楽器にそぐわないアーティキュレーションを改定
- 楽器の追加、廃止
自分が認識を改めたのは、主に1の部分です。
今回、自分は打楽器がよく見える席から演奏会に臨みました。
ティンパニ、スネア、テナードラム(トム)の3人のアンサンブルが特にしっかり見える席でした。
先程面食らったと感想を述べた一楽章の打楽器アンサンブル、プロの演奏を近くで聴くと本当に素晴らしいものだということがわかりました。
叩き方はそこまで変わっていない(ように見える)のに、アクセントとそれ以外の音の違いが明確に区別されていました。それも一人ではなく全員が。
そう。全員がアクセント、打楽器のパッセージのつながり、テンポ感の意識を共有していたおかげでこれほどすごい演奏ができたのだと感じました。
そして、今回何よりも絶妙だと唸ったのが打楽器内でのバランスです。
これまで自分が違和感を感じていた理由の一つに、どうも音量バランスが取れていないことがわかりました。
例えば、最初のテナードラムはあくまでもスネアを立てるためのものです。
どうしてもそこが対等になってしまう演奏が多く、違和感を感じていました。
昨日の演奏は、作曲者本人がかなり細かくバランス調整を行なっていたことがわかる演奏でした。
そしてそれにきっちり応えられる奏者によって、名演が産まれたのです。
本当にすごかった…。(恍惚)
いやー本心からお勧めできる、行く価値のある演奏会でした。
そんな演奏会に行って感化され、昨日突発的にやっちゃったこともブログにしたのでそちらも是非。
ではでは