少年Aと恋愛相談
こんにちは、トサカです。
一世を風靡した「質問箱」システム。
「ask.fm」が先駆けとなり、より質問をわかりやすく表示させた「peing」「Sarahah」、ホメに特化した「マシュマロ」など、独特で多様な進化を遂げています。
卒論に追い詰められて、仮死状態だったときに一瞬だけ自分もやっていました。人とのコミュニケーションを取れるという意味ではかなりいいものだったのですが、中身があるのかないのかわからない禅問答のような解答ばかりしていたので、質問が来なくなっちゃいました。
なので、今でも真摯に質問に答えている方を見ると尊敬します。
相手の現状をよく見る観察力と、回答をきちんと文字数以内にまとめる表現力。そしてちょびっとユーモアを交えればいい回答の出来上がりです。
言うは易く行うは難し。人の痛みに寄り添ってあげられるのは一つの優れた才能だと思います。
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「質問コーナー」と聞くと、自分はRadioheadを思い出します。
Radioheadは、イギリスのロックバンドです。
ロックバンドですがその音楽性は多種多様。それまで十分成功、成熟していたバンドサウンドを捨て、エレクトロな現代音楽を世に出した4thアルバムが異例の大ヒットを放ってから、民族音楽やジャズを飲み込んだ音楽を世に放っていきました。
これが4枚目のアルバムの表題曲、Kid Aですね。
聴いていただけるとわかるんですけど、めちゃくちゃ変な曲です。
人の心を持たない機械のようなエフェクトがかかったボーカル、シンセの打ち込みのようなドラム、優しいキーボードの音があるにもかかわらず、心が落ち着くような音楽はここにはありません。
でも、アルバムを通して聴くとこの曲の無機質さがかっこよく聴こえるんですよね。
変な曲を書くだけなら、既存の曲の文法を適当に外せばいい。
格好いい曲を書くだけなら、既存の曲とよく似たものを作ればいい。
Radioheadは、この一見両立しえない二つを見事に組み合わせ、見事昇華しています。
初めて彼らの曲に触れたとき、こんな奇妙でスリリングな曲を書く人の頭の中は、自分には全く理解できないものなのだろうと思っていました。
しかし、この記事を読んで、そんなイメージは見事ひっくり返されました。
ここに書いてある、「トム・ヨーク」という方がRadioheadのブレインです。
彼が、なんとティーンの恋愛相談に本当に真面目に答えているのです。
彼らの音楽を聴いて、完全に別次元の人間だと思っていた当初のぼくにとって、この記事はかなり衝撃的なものでした。トムがぼくと同じようなことで悩んでいたなんて…。
特に印象に残っていたのがこの回答。
「幼馴染だけど親しくない男の子がなにか言ったりする度に、別にわたしに語りかけてなくてもどきっとします。これって好きっていう気持ちですか」という問いには、~中略~ トムは「そういうドキドキ感は今のうちいっぱい堪能した方がいいよ」と答えている。
甘酸っぱい!トム甘酸っぱいよ!!
とても「抑止力のための核兵器」とか言う物騒なバンド名で活動しだすような人とは思えない回答!十代の多感な時期のなんとも言えないこの感情を「楽しんで」とアドバイスしてあげるトム!トム!!
ライブ中に何かキメてるとしか思えない謎の動きをする人物とは思えない、至極まっとうな回答の数々に仰天しました。
(ライブ中はこんな感じでフラフラ動いているそうです。)
この記事を読んで、どんなロックスターも人並みに悩みながら高みまで辿り着いていることに気づけました。みんな人並みに悩みながら頑張ってるんだし、ぼくも頑張ろ。
ではでは。
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