後藤を持ちながら

後藤を持ちながら

吹奏楽から仮面ライダーまで

変身

こんにちは、トサカです。

 

ヒーローになるときの掛け声、何を想像しますか?

一般的なイメージでは「変身!」という掛け声とともに姿がヒーローに変わります。ただ、この変身という掛け声は「仮面ライダー」以外で使っているのを聞いたことがありません。戦隊ものでは「○○チェンジ!」とか「○○オン!」といった掛け声が主流です。またウルトラマンでは「纏うは○○!」とか「○○な○○、○○します!」といった定型的な名乗り口上が存在します。「変身」と叫んで変身するヒーローは、仮面ライダー「のみ」です。ここテストに出るので覚えておいてください。

 

この変身ポーズしかり、名乗り口上しかりを行うと、バカみたいに時間を喰います。敵に反撃の時間を与えてしまったり、破壊活動を続けさせてしまいます。もちろん、このタイミングで反撃されないように変身中は結界を張るなどの工夫が張られているのですが、それでも名乗りや変身の掛け声は「時間の無駄」と言ってしまえるようなものではあります。

でも、変身者にとってこの時間は「自己」を切り替える上で必須な時間だと考えています。

 

もちろん主人公たちはそれぞれの生活があります。「ヒーロー」として活動こそすれど、本質的にはぼくらとおなじ人間です。しかし、彼らは人間とは違った未知の力、どちらかと言えば人間よりも怪獣に寄った力によって戦います。つまり、ぼくらの想像が及ばないほどの力であったり、苦悩であったり、責任であったりを背負ってしまうことになります。(ちなみにぼくはこの「ヒトならざるもの」の力に悩まされながらも、人らしい選択をする話が好きです。)

では、この「ヒトとヒトならざるもの」の間には何があるか。ぼくはそこに「変身の掛け声」が存在すると考えています。

 

変身!という掛け声なり、名乗り口上なりを行うことで、これまでの「人間としてのぼく」から「ヒーローとしてのぼく」に意識を切り替えるのです。ここでうまく人格を切り替えることができず、「ヒーローとしてではない、一般的な生活を送っているヒトとしての自分」のまま敵と戦うと、いくら怪人であれうまく倒せないのではないかと考えます。

この変身という掛け声によって、ヒーローはヒトとの線引きを行うのです。

 

ぼくの普段の生活の中での「線引き」は、主に出勤時間です。会社と自宅はそこそこ歩かなければいけない距離なのですが、この距離がぼくを「ヒト」から「社会人」へと変えている実感があります。

ぴしっとアイロンをかけたシャツを身にまとい、今日の気分に合わせた曲を聴きながら、歩く。このちょっとした運動がぼくの人格を切り替えてくれます。逆に、この時間を十分に取れないまま会社に着いてしまうと、自分の席に座ってもしばらくぼうっとした時間を過ごしてしまいます。

思考回路を切り替えるために、この時間はどんなことがあっても守りたいと考えています。この時間はぼくにとっての「変身!」の時間なのです。

 

 ではでは。