後藤を持ちながら

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吹奏楽から仮面ライダーまで

Let's 教祖!

こんにちは、トサカです。

 

avoirgoto.hatenablog.com

科学と宗教との差異、そして科学が手に届かないところに宗教がすっぽりとはまるのではないか、という話を以前しました。しかし!ぼくはそこで一か月足を止めてしまっていたのでした。どういった人たちが「信じる」のか。どのようにして宗教は発達してきたのか。う~ん難しい…と悩んでいたぼくに、書物は微笑みかけてくれるのでした。

「完全教祖マニュアル」という本です。

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

 

 

人から尊敬されたい。人をガンガン操りたい。でも、それを担うにはあまりにも自分は非力であることを自覚している凡人に、この本はたった一つの「救いの道」を与えています。

『教祖になれ。さすれば貴様の道は自ずと明るくなるであろう』

この本は、

・教義をより確固たるものにする思想編

・教えを多くの人に広めるノウハウを集めた実践編

の二章で、「如何に効率よく教祖になるか」を説いています。

 

本の語り口はかなり穏やかです。しかし、言葉遣いに反して内容はかなり過激で笑えます。

この本の「はじめに」の

本書を信じるのです。本書を信じなさい。本書を信じれば救われます———。 

 をはじめとして、宗教に関する真実をかなりジョークっぽい言い口で語られます。「仕事はおろか家族すら捨てる仏僧はニート以下の存在なのです。」「午前二時に日本人形がいきなり動きだしたって、それは科学で説明できないだけの現象なので恐れる必要はありません。」「あなたは皆の期待に応え、権威を振りかざすべきなのです。」「教団が安定してきたら、そろそろ甘い汁を吸いたくなる頃でしょう…。」ゲラゲラ笑いながら読めました。

また、性的な話も結構多く、予想以上に宗教と性的な話の相性の良さを感じました。例えば、これまでそういった行為をしたことのない男性は社会的に弱い立場に追いやられており、また割と見つかりやすいため宗教にかなり取り込みやすいそうです。うるせぇよ。

まぁあんまりここには書けない話も多かったので、気になった方は読んでみてください。

 

基本的にこの本は実用書なので、明確に「この本に書かれてある技術を使いたい」という人が存在します。この本がターゲットとしている層は「凡人凡俗だけど自己顕示欲の強い、本気で教祖になりたい人間」だそうです。ぼくは教祖になどなるつもりなく、ただただおもしろがるために読んだのですが、著者に言わせてみれば「そういった人間はごく少数」とのことです。

ただ、この本は10年前に発売されたものであります。この本の最後で「国教化を企てよう!」という(とんでもない)章があるのですが、この本が発売されて10年経ってもまだ国教となるような新興宗教は出てきていないので、まぁまだ真に「実践できた」人はいないのでしょう。まだぼくのような「面白半分」で読むというスタンスの人が多いのでしょう。

 

もちろんこの辺は筆者のジョークです。というより「面白おかしく、しかし要点は外さずに」宗教団体の成り立ちを説明するということがこの本のテーマです。面白く、わかりやすく「人はなぜ信じるか」「どうやって信者を増やすのか」を説明しております。非常にいい本だと思います。

 

というわけで、宗教団体に興味のある方、現世に存在する宗教に疑いの目を向けている方、教祖になってちやほやされたい方、ぜひ読んでみてください。名著です。

 

ではでは。