後藤を持ちながら

後藤を持ちながら

吹奏楽から仮面ライダーまで

ダメと言われたい

こんにちは、トサカです。

 

昨日は友達と遊びに淀屋橋に行きました。カラオケです。最後はガラガラ喉になってしまったので、むりくり激しい曲を歌いまくっていました。楽しかったです。

 

さて、淀屋橋と言えば大阪有数のオフィス街です。住友銀行日本生命などの名だたる企業のおっきなビルが立ち並びます。多くのビジネスパーソンで平日はあふれかえるらしいのですが、日曜の午後の淀屋橋は呑気に散策できる街でした。西洋風のレンガ造りの建物も多く、歩いて楽しかったです。

が、さすがオフィス街。そこはかとなくぴりっとした緊張感がありました。

 

一番その緊張感を感じたのは、地下鉄淀屋橋駅の近くにある本屋に足を運んだ時です。

エスカレーターを登った先に本屋がどんと構えてあり、自然と店先が目に飛び込んできます。そのエリアには、ここで売れている書籍がずらりと並んでいます。

 

この構造自体はよくあるものなのですが、そこに並んである本がなかなか「圧」が強いのです。すごい企業の法則とは。できる営業になるためには。残業をしない働き方をするためには。これをしなさい。あれをするな。あれはダメこれはいい…。とにかく、ビジネス系の、それも結構断定口調のタイトルの本が目立つところに置かれているのです。

「本屋のレイアウトには世の中のトレンドが眠っている」という言葉があります。まぁここで言うトレンドはあくまでも「本を買う層」のものなので100%真実というわけではありませんが、それでもその街の個性であったりその本屋の信条が見えたりするので、本棚のレイアウト方法を書店ごとに見比べるのは結構おもしろいです。

淀屋橋の、それも駅からかなり近い本屋にわざわざ家族で来るような人はなかなかいないでしょう。客層を考えればビジネス系の本がたくさん並んでいるのも納得です。しかし、その本棚を見たときぼくは少しビビってしまいました。

 

ぼくは本を買うとき、自分の中で「何か変わるかもしれない」という気持ちを抱きながら買います。これまでの自分にはなかった人生の楽しみ方や問題の解決策、あるいはもっとクリティカルに心にヒットする「何か」を期待します。

これは本に限らずあらゆるものに対してぼくが期待していることですが、特に文章ならばその「何か」に至るまでの描写が丁寧になされているので、その「何か」を見つけやすいのです。

とは言ったものの、別に「変えよう!!!自己変革サイコー!!」という意識は持ってません。ぴぴっときた本を手に取って、面白そうなら買う。んで「なんか変わるかもな~」なんて淡い期待を抱く。これくらいの心持ちです。おそらく一冊の本で人生観ががらりと変わること自体「まれ」ですし、一冊の本でがらりと変わってしまうほど自分はやわじゃないと信じています。信じたいなぁ。

 

そういった「ほどほどの期待」を抱いているぼくにとって、なかなかあの本屋は居心地が悪かったです。なぜなら、あそこに並べられていた本は「お前はダメだ」という趣旨のタイトルの本が多かったからです。

自分に、もしくは自分の環境に不安や不満がある。しかし、それをどのように打開すればいいかわからないという人たちのための本がものすごく多いのです。あの企業に習おう。こういったスキルを身に付けよう。こんなことはしちゃダメ。これこれをしなさい。それらの本のタイトルを見ていると、「ダメ」と言われたい人々と「ダメ」と言いたい人々の需給が釣り合っていることを感じます。

自分の中に明確な、しかもマイナスな思考である「このままではダメだと言われたい」という欲求があって、その欲求を満たすために本を読むという行為は、お気楽な自分にとっては結構驚きです。(だって読書って娯楽として楽しみたいやん…。)

ただ、自身の弱いところの解決策を、少なくとも本を書ける程度には体系化してある先人に頼るという手段は間違いなく有用です。淀屋橋にはそれをきちんとできる人が多いことがわかります。かっこいいなぁ。あと十年くらいしたら、ぼくもそういうことができるようになっていたいですね。

 

 

ではでは