後藤を持ちながら

後藤を持ちながら

吹奏楽から仮面ライダーまで

小林と高橋

こんにちは、トサカです。

仮面ライダーアマゾンズ  the movie 最後ノ審判」観てきました…。

思わずため息とうめき声が出ちゃうほど、辛い映画でした。

本当に隣に人がいなくてよかった…。

これまで登場人物が辛い目に遭っていたことを知っているばっかりに、好きなキャラが悲惨な目に遭っているのを見ると、「もうやめてやってくれよぉ!」と叫びだしたくなるくらいには没入していました。

ラストカットでは、「これまでの安泰」を捨て「これからの孤独な戦い」が始まることを暗示しており、何とも言えない物悲しさが漂っていました…。良い映画だった。

 

誰がこんな辛い話作った?

 

今回の映画では、脚本家高橋悠也が筆を執っています。

彼は去年のライダーである「仮面ライダーエグゼイド」関連作品の脚本を全て!書いています。一年間続くドラマに加え、間に挟まれるスピンオフ、映画、そして後日談三部作、全てです。(超スーパーヒーロー大戦は忘れてください by 大森P)

めちゃくちゃ体力が必要なことですが、それを彼はやりきりました。さらに、しっかり面白い話を書いています。

 

もともと、ドラマ版は小林靖子という外道衆(後述)が脚本を書いていたのですが、都合がつかなかった(恐らく映画 刀剣乱舞のホン書き)ので、話が彼に回ってきたそうです。

(あまりにも仮面ライダーの脚本書きに拘束されている時間が長いので、高橋氏が「東映に家族を人質に取られているのではないかという噂も…)

 

個人的に映画は大満足の出来栄えだったのですが、ドラマ版と比べると不満が残るという方もいることを知りました。

なぜこのような不満が残ったのか?

考えてみると、脚本家の癖の違いが大きいんじゃないかなと思っています。

今日はこのことについて書いていこうと思います。

 

脚本の癖ー高橋氏の場合

 

今回比較するのは、キャラが対峙する問題の描き方です。

 

高橋氏が描く問題は、かなり発症の速い即効性のある問題であることが多いです。

物語の中で、キャラがどういった問題と立ち向かわなくてはならないかが早いうちから明らかになります。

 

ただし、そこからの展開にひねりを加えるのがかなりうまいです。

例えば、展開の速かったエグゼイドでは、ハイパームテキという時間無制限最強無敵の主人公フォームが登場します。

ここで高橋氏は「このフォームを倒すために敵を強化する」のではなく、「このフォームに変身させないようあの手この手を使う」という方式をとります。

 

キャラが対峙する問題を攻略→別の観点からの妨害を繰り返し、クライマックスまで問題が持つ鮮度を保つ。これが高橋氏の書く脚本の特徴です。

 

今回の映画でもこれは遺憾無く発揮されています。

孤児院のおかしさに気づいた悠が、子供たちに脱出を呼びかけるシーンが割と最初の方にあるのですが、そこで、普通ならなかなか考えつかない「ある教え」のせいで計画は頓挫し、悠は渋々帰ることになります。

この品替えによる話の作り方は、高橋氏特有のものだと思います。

 

脚本の癖ー小林氏の場合

 

小林氏の描く問題は、遅効性蓄積型即死タイプの毒のような問題が多いように思えます。

物語の中でキャラが向き合わなきゃいけない問題が、最初はよくわからない。

しかし、話が進むにつれて少しずつ伏線が張られていきます。

そして、作品中盤。ある出来事をきっかけに問題は爆発し、キャラが向き合うべきカルマが衝撃的な形で暴かれます。

 

特に印象深かったのはシンケンジャーとオーズです。

ここでは深くは取り上げません。もし「気になってるけど観てない…」という方がいれば、前情報なしで最後まで観てください。

 

個人的に小林イズムが遺憾なく発揮されていたと感じるのが、アマゾンズ 第2期です。

ぶっちゃけ途中までは千翼の行動にイライラし、前作主人公の悠のかっこよさに惹かれていた人が多かったようです。

(パンフレットを読んだところ、2期はかなり難産だったようで全然テーマが決まらなかったそうです。なんかわかる…。)

しかし、主人公、千翼の驚くべき境遇が明かされ、そのカルマを背負っていく不憫さを目の当たりにした時、物語は加速していきます。

あまりにも、あまりにも悲しい物語ですが、魅力的な小林イズムが大好き💕な人もかなり多いです。

 

癖の違いー同じフォーマットで書くことでわかること

 

自分がアマゾンズ の情報を熱心に追い始めたのって2期からなんですよね。

 

仮面ライダーの"原点"って一体何なんだ? - 白倉伸一郎Pが語る『アマゾンズ』 (2) Season3ではなく劇場版を選んだ理由 | マイナビニュース

 

白倉プロデューサーがここで話しているように、1期の頃ってそんなに配信サービスを観ること自体がそんなに流行っていなかった。

少なくとも自分の周りではあまり話題にするような人がいなかったように思います。

んで、2期から入った人がいきなり観せられたのが、あの強烈な小林イズムだと考えると恐ろしいですね。そりゃあ好きになっちゃう。

 

高橋氏は「問題の提示の仕方」において小林氏の書く脚本と真逆の性質を持っています。

速い展開で、わかりやすく設定された問題が、様々に変容していきながらキャラに襲いかかる様は、ジェットコースターのようです。

しかし、遅効性の小林イズムに魅せられた(特に2期から入ってきた)人にとっては、ジェットコースターはあまりにも速く不満が残る内容だったと感想をもらしたのではないかと自分は考えます。

例えば、仁さんはセリフが全くなくても、序盤の早い段階で「あっこれ酷い目に遭ってる…」とわかりますが、話の上ではしばらく放っておかれてしまいます。この時間はまーー辛かった。

「おい、仁さんに触れろよ…

仁さんはどうした!!」

という風にじれったい気持ちが渦巻きました。

こう書くとカツ丼食べさせたい人みたいですね。

 

でも、自分は高橋氏が脚本でほんとよかったと思います。

「エグゼイド トゥルーエンディング」でも、平成ジェネレーションズ FINAL」でも感じたのですが、登場キャラが多い作品で、その全員に華を持たせるのが高橋氏は抜群に上手いのです。

アマゾンズ は主役だけでなく、様々なキャラがいます。

そして彼らに対するファンも大勢います。

どのキャラにも見せ場を与えるという点で、高橋氏は本当にいい仕事をします。そこを考えると彼に脚本を任せたのは大正解でした。

 

あーほんと面白かった。次は4dxで観たいです。

七羽さんの匂い、どんなんなんだろう…。

 

ではでは。

 

PS.ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンク!お前の兄ちゃんもDr.真木に致命傷与えてたぞ!やっぱ兄弟やな!