後藤を持ちながら

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吹奏楽から仮面ライダーまで

記憶を失ったヒーロー ~アクセスコードは②~

こんにちは、トサカです。

 

グリッドマン第2話「修・復」、面白かったなぁ…。

というわけで、飽きもせず今日もSSSS.GRIDMANについて書いていきたいと思います。第1話の感想はこちら。

 

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第2話では、主題歌が解禁されました。ヒーローが悪に立ち向かっていく超絶王道のオープニングに、ぼくがそのシーンに出会ってしまったら見つからないようにその場を離れてしまいそうなくらいに、メインヒロイン二人が仲良くしてるエンディング。どちらも爽やかさの中に熱を持っていて、すごくいいです。すごくいいんです…。

また、謎だらけだった1話から少しだけ物語も進展しました。街に怪獣を送り込んでいる「武史くん」ポジションが誰かが判明し、「修復」されたものとされなかったものの線引きがだんだんとわかってきました。果たして失われたものはもう帰ってこないのか。主人公たちはどのように物語に救済を与えるのか。今からワクワクしています。

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さて、第二話でも街が怪獣に襲撃されます。「グリッドマン同盟」である主人公たち3人にとっては「二回目」の襲撃なのですが、怪獣を前にとった彼らの行動がなかなか興味深いものとなっています。

まずは内海君。彼はもともとウルトラマンシリーズが好きということもあってこの怪獣という非常事態を「非日常」として楽しんでいます。裕太が街を救うグリッドマンに変身したところをみてはしゃいだり、ノリノリで怪獣が現れた謎を「解き明かす」という言葉を使ったりなどからその興奮っぷりが伝わってきます。

続いて六花ちゃん。クラスメイトが「修復」されなかった事実にショックを受け、これ以上何も壊されてほしくない、だからグリッドマンには戦ってほしいと願いながらも、裕太が変身してその身を危険にさらすことにも否定的です。戦いが終わった後真っ先に友達に電話をかけ、その無事を確認して安堵する姿を見てこちらもなんだかほっとしました。

怪獣とそれを倒すヒーローがいる現状を楽しむ男の子と、手の届く範囲の心配を真っ先にする女の子。キャラクターのデザインや声は少し大人びてはいるものの、その行動は少し青くて昔を思い出します。ただ、主人公である裕太だけは少し違います。

記憶喪失で、これまでのことを何も覚えていない裕太。彼は怪獣が出たとき、真っ先にグリッドマンに変身するため、ジャンクに向かおうとします。そのあまりにもさらりと自己犠牲をやってのける態度に内海君はかなり動揺し、いったん彼を引き留めますが、裕太は淡々と「ぼくが戦わなくちゃいけない」と諭します。その強引さと新キャラのサムライさんの説得により、六花ちゃんもジャンクに向かって走ります。戦う覚悟を決めた六花ちゃんの顔が非常に凛々しくて、この回で一番好きなシーンです。

たった三人にフォーカスを当てても、怪獣という現象に対し全く違った反応を見ることができます。このシーンを見てぼくは、このアニメが真摯に「怪獣」と向き合っていることを再確認できました。

 

さて、「記憶喪失」であり、「自己犠牲により正義を執行する」裕太ですが、ぼくはこのキャラ設定に既視感があります。ついこの間もこんな話を観たぞ…。

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そう、てぇんさい物理学者の桐生戦兎です。

仮面ライダービルドの主人公である桐生戦兎は「ラブ&ピース」の名のもとに戦うのですが、気のいい喫茶店のマスター「石動惣一」に拾われるまでの記憶が存在しません。仮面ライダービルドは、桐生戦兎の空白の二十何年かの記憶はどこにあるのかを探していくうちに、巨悪と戦わなければならなくなるという話です。

 

彼も記憶喪失であり、また自己を厭わず愛と正義の名のもとに戦うヒーローでした。

この二点において、二人はよく似ています。危険であると知りながらも変身し、人々を守るために戦う。危ない領域に陥ってまでも自己犠牲を行っている人をぼくは陰で「サイコパス善人」と呼んでいるのですが、まさにこの二人はそう呼ぶのにふさわしいような造形をしています。

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桐生戦兎の自己犠牲っぷりはこちらの記事でも書いたのですが、そのときにぼくは「アイデンティティの欠落」が善人サイコパスっぷりを加速させているのではないかと推測しました。記憶を失い、身元もわからないので積み上げてきた人間関係がないから自己を上手く定義できない。だから自分の方が無茶できると考えていました。

 

でも、グリッドマンの裕太を見て少しだけ考え方が変わりました。彼らにとって、自分が必要とされていると一番実感できる時間が「ヒーローに変身している時」なのです。

 

裕太の家族は今近くにいません。三か月ほど両親が海外へ旅行に出かけているそうです。(街の被害の受け方を見ると、彼の両親に対してあまりいい想像はできないですが…。)自分のクラスにいれば一応他の生徒から声はかけてもらえます。しかし、ほどほどの付き合いをしているからかクラスに対する帰属意識はあまり高くないと思えます。つまり、密な関係を結べているのは上に挙げた二人、つまりグリッドマンとしての活動だけなのです。

今のところ、街を救うことができるのはグリッドマンと融合変身できる裕太だけ。彼がいないと実体化できないため、グリッドマンはただただパソコンの中で喋るおじさんになってしまうのです。つまり、彼がやらねば街は壊滅してしまうのです。記憶喪失の状態でいきなりこんな状況だけを手渡されたら、そりゃあ「変身」しちゃいますよね。自分が記憶を失うことで社会とのつながりが断絶された時に、こういった「使命」を与えられたら、多くの人がその「使命」に入れ込んでしまうと思います。

ちなみに、仮面ライダービルドでも桐生戦兎が平和のために戦うという「使命」が与えられますが、そこに没頭せざるを得ないところまで彼を追い込み、自分の野望のために諸悪の根源が主人公を利用するという展開でした。裕太には戦兎くんのようにその純粋で狂気的ですらある善意を利用されないよう気をつけてほしいです。いやまじで。

 

さて、巨大化した特撮物では敗北は許されません。ヒーローの敗北は街の壊滅と同義です。

今日の夜から放送されるグリッドマン第三話、タイトルは「敗・北」。どうなるか楽しみです。

 

ではでは。