後藤を持ちながら

後藤を持ちながら

吹奏楽から仮面ライダーまで

コンセプチュアル

こんにちは、トサカです。

 

日曜日の始まりの楽しみがニチアサ(仮面ライダースーパー戦隊の番組枠)ならば、日曜の終わりの楽しみはクラシック音楽館です。Eテレなら宮崎でも映るので、これまでも実家に帰ったりしていた時はたまに観ていました。しかし、テレビが届いてからさらにはまってしまいました。

今住んでいるところで初めて観たクラシック音楽館は、「ダーウィト・アフカム」が指揮を振った第1877回の定期演奏会です。後半のプログラムが二曲とも好きなものだったのですごくうれしかったのですが、指揮者ダーウィトのそのときのインタビューが非常に興味をそそられるものでした。

 

曰く、「ストーリー性のあるプログラム」を目指し、どのような曲を演奏するかを選択したそうです。超絶技巧が光る曲ばかり集めたり、世代が同じ作品を集めただけのプログラムではなく、曲に込められた哲学やその曲が秘めるドラマ性、音楽学など、少し掘り下げたところで一貫したテーマがあるプログラムにこそ、その曲目の魅力をより一層引き出すことができるのだと話しています。

その回のクラシック音楽館で演奏されていた、ぼくの好きな曲は、R.シュトラウス作曲:歌劇「ばらの騎士組曲と、M.ラヴェル作曲の「ラ・ヴァルス」です。

ダーウィトは「ワルツ」と「悲劇」という観点からこの二曲について語っています。「ばらの騎士」は貴族社会がすでに没落の道を歩み始めている18世紀末を舞台としていますが、その中で生きる人たちの三角関係を豪華絢爛に描いています。「ラ・ヴァルス」は第一次世界大戦を経たラヴェルが、その動乱に影響されて作られた「狂気に満ちたワルツ」です。どちらも一見明るい曲調ですが、それぞれの曲が持つ背景には薄暗い物悲しさがあるのです。

このように一定のテーマを定めたうえで、こちらが意図したテーマを醸し出すことが「演奏会の目的」とダーウィトは語ります。

 

これまでに聴いてきた演奏会の中で一番感心したプログラムは、「神」をテーマにしたものでした。

一見何のつながりもないように見える曲目が、実はすべてなんらかの神をテーマにした曲であったのです。例えば、出雲神話に出てくる神をテーマにした曲があったり、賛美歌を変奏曲にした曲であったり、その曲の一幕で教会に祈りをささげる人々を描写する場面があったり…。一部と二部の間にパンフレットを読んでこの事実を知り、めちゃくちゃ驚いたことを覚えています。

一本筋の通ったテーマがあると、どうしてもその視点から聴きたくなってしまうのが人の性。いつもの聴き方に加え、少し別の角度から好きな曲を楽しめるのです。個人的には、こういったコンセプトがある演奏会がもっと増えるとうれしいです。

 

 

ではでは