【海の日特別企画】La Merになった王様
こんにちは、トサカです。
このブログを始めてから初めての祝日です。
ちょうどゴールデンウィークが終わったすぐあとにはじめたので、なかなか休日に当たらぬままでした。
今日はちょっとした記念日なので、「海の日」にちなんで海のことを書こうと思います。
昨日のブログで、「音楽をどんなふうに聴くか」を書きました。
ぼくは、最初に聴いた時に「かっこいいと思った箇所」がいくつかある曲を好む傾向にあります。
打楽器とベースセクションの絡ませ方、中音が奏でるメロディライン、暖かい高音域などあげだしたらきりがありませんが、要は曲中に「口ずさめるポイント」がいくつあるかが、自身の好みに大きく影響を与えていると思います。
ただ、たまに例外があります。今日取り上げるドビュッシー作曲のLa Merも例外のうちの一曲です。
邦題は「交響詩 海 ー管弦楽のための3つの交響的素描ー」です。
その名の通り、海に関する様々な情景を思い浮かべさせる、そんな曲になっています。
初めて聴いた時からその美しさ、洗練された曲調に惹かれたのですが、では具体的にどこが好きかと聞かれると答えるのは非常に難しい。なぜならちっともメロディを思い出せないからです。
この曲、旋律が流しそうめんのようにちょっとずつちょっとずつ流れてくるんですよね。
あ、なんかいい雰囲気の旋律だ!ここ好きかもと思った次の瞬間には、その音楽は過ぎ去っている。そんなメロディがわんさか出てきます。あぁもっと聴いていたいのに。すごく贅沢な音楽の作り方だと思います。
この曲を作るうえでドビュッシーは、葛飾北斎の『富嶽三十六景』から多大なインスピレーションを受けたと言います。当時フランスで行われていた万博でこの浮世絵を一目見てから、自身の家に飾るほど気に入ったと言われています。ちなみにこの曲のスコアには富嶽三十六景の一つである「神奈川沖浪裏」が印刷されているそうです。
この浮世絵をみて、ドビュッシーは「西洋の伝統的な音楽表現にのっとらなくても、芸術は成り立つのではないか」と考えました。
そして、伝統的な作曲方法であるメロディありきの音楽ではない、音楽の断片を繋ぎ合わせて表現を行うという方式で作り上げられたのがこのLa Merという曲です。
音楽の断片を繋ぎ合わせ、さまざまな音楽が浮かんでは消えていく。
そんな曲の構成と「海」というモチーフがうまくかみ合った時、まるで一音一音が寄せては返す波を表しているような、そんな情景が浮かび上がります。
是非聴いてみてください。
また、同じモチーフを使い、明らかにこの曲を意識したであろう曲についてもブログを書いてます。ぼくはこんな感じの曲が好きなんでしょうね。
ではでは